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僕たちは世界という
終わらない映画を観ている
新しいお客は筋の解らない物語を眺め
古いお客は席を立って出て行く
けれどお客を無視して
世界という映画のテープは回り続ける
始まりさえ誰も知らない物語
そして終わりさえ誰も知らない物語
誰が産まれようが
誰が死のうが
お構いなしに映し出される奇妙な映像
人生は途中で始まり途中で終わる映画鑑賞
笑顔の後には泪がこぼれ
愛が始まり愛は終わる
若者は老人となり
誕生は瞬く間に死に変わる
毎日が映画を観ているような気分で過ごす
大根役者と派手な原色の品の無さにうんざりしながら
時には褒め称え
時には悪態をつきながら
自分の帰る時間が来るまで席に座っている
係員が時間切れだと肩を叩くまで
暢気に座っていられると思った次の瞬間
肩を叩く冷たい手に気づく
少し名残惜しそうな気もするし
清々したような気分にもなる
けれど映画は続く
誰が産まれて
誰が死のうがお構いなしに
席に座っている者は考え続ける
この映画にどんな意味があるのかと
でも答えは永遠に分からない
人生は山盛りのポップコーン
時間がたてば喜びは憂鬱に変わってゆく
思い出は床に落ちたポップコーン
あなたがいたような形跡だけを残す
時が来れば掃除夫がやってきて
それさえも跡形も無く消え去る
だからあなたには石が必要なのだろう
名前ではない名前が彫られた四角い石が
だけど通りの角の映画館は年中無休
何千年も何万年も開店している
誰にも理解できない映画を上映している
何の意味も無いのに意味を考え続けるお客と共に
だから席を立つ時間が来る前にキスをしよう
映画館の暗くて深い椅子に隠れて
係員に見つかるまで抱き合おう
世界という映画は勝手に回っているだけ
誰が産まれようが
誰が死のが
お構いなしにフィルムは動いている
その中に生きている人は誰もいない
細切れの嘘が連写されているだけ
産まれるとは映画館のドアを開けること
死とは映画館のドアを出て行くこと
世界とは終わらない無意味な映画
だからつまらない映画は観ない
時間が来るまで映画館でキスをしよう

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