FC2ブログ
clown-1394135_960_720_convert_20180807092756.jpg

叔父さんにお小遣いをねだりなさい
義理の叔母は薄笑いを浮かべて小学生の僕に云った
僕は彼女のショーに見世物として呼ばれたのだった
貧乏な親戚を小馬鹿にしている彼女がなぜ僕を呼んだのか
それはすべて優越感というショーの為だと知った
観劇するのは見覚えのない親戚とその子どもたち

僕がそれを断ると叔母はしつこく迫った
叔父さんにお小遣いを頂戴と云いなさい
僕は叔父の前に歩み出て叔母を振り返った
人を蔑む残酷で嫌らしい視線が僕を貫いている
叔母は顎で合図して僕を急かしている

叔父さんお小遣いをください
その瞬間にそこにいた全員が静まりかえった
そして次の瞬間には大笑いが起こった
叔父さんは財布から誇らしげに1万円を出す
ありがとうございますと僕はうなだれた

うなだれた僕の耳に叔母の笑い声が響いた
叔母は満足そうに薄ら笑いを浮かべて僕を見ている
僕は惨めで貧乏な道化の子どもだった
彼女はショーを終えた僕に今度は帰れと云った
僕は1万円札を握りしめて親戚の劇場を出た

夏の入道雲を見上げてため息をついた
油蝉の鳴く声と蔑みの笑い声が路上に漂っている
哀れな道化のショーのギャラを手にして歩いた
この世の全てのものが憎かった
それが小学生だった僕の悔しい夏の思い出だ

スポンサーサイト