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春の闇に消えた友へ

梅の花はまだ蕾
桜の花の咲くのも待たず
冬の残り香のような3月に
ひとりの友が死んだ

1年が過ぎ
また巡り来る春が来て
春を待てなかった友を思い出す

言葉を失うその瞬間にも
僕は言葉を書き続けるだろう
ほんの少し遠い場所で
再び生まれ変わっても
僕を捜せるように

春に去っていった
多くの者たちの弔いに
木漏れ日の差す墓標の前で
お別れの祈りのように
詩をうたおうじゃないか

お前が待てなかった
暗黒のような春の光を
青と白と桜色に塗り替えて
お前の墓標に捧げよう

言葉を失うべき瞬間にも
言葉を書いている
その業の深さよ

僕は偽者のインチキ牧師
去りゆく者のために
祈りを捧げる運命を生きる

散りたくなければ
咲かなければいい

咲いてしまえば
散るだけの季節を生きる

満開の花は散るを急ぐ
風に吹かれて戯れながら
やがて丸裸になるだろう

僅かな富も
仮の名誉も散り果てて
僕は僕へ
お前はお前へ
ただ帰する

春という季節





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