桜の花に降る雨は
みぞれまじりの冬の言い訳
温かい冬だと言われたせいか
冬はへそを曲げてしまったらしい
春のカレンダーの中に
ほんの少し言い訳を書いてみる
桜の花に降る雨は
みぞれまじりの冬の遺言
遠くに響く冬の季語が
さようならと手を振った
秋の次のカレンダーは春
ぬるい大地へ冬の泪が落ちる
桜の花に降る雨は
みぞれまじりの春の葬列
椅子をなくした冬の居場所は
遠い昔の記憶の中にしかない
冬が本当に日本から消える頃
僕たちもさようならを言うのです
桜の花の咲く頃に
みぞれまじりの言葉を抱えて
僕たちは寒い泪を流し
大地に詫びなければならないだろう
そして沈黙の春の言葉は聞こえない
春も死に絶えるだろう
そのとき僕たちが見るのは
幻の桜の花びらかもしれない