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2014.01.20 五十路
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昔話しをするのは無駄なこと
若い頃はそう思っていた
過去に浸っていられるほど暇じゃない
誰かにそう言い放ったこともある

故郷を遠く離れて放浪三昧
見知らぬ人ばかりの異郷の街で過ごす日々
だけど不安な気持ちを支えてくれたのは
昔話の出来る友の確かな存在

離れていても過ごした季節は変わらない
いつかそれを肴にして飲み明かそう
そんな事を想像したらいつも心が落ち着いた
故郷の友に身勝手に心を寄せて

だけどお前が四十路半ばで死んだとき
鮮やかに蘇るはずの想い出は白黒になった
僕とお前だけしか知らない景色
それももう僕だけが覚えている景色になった

もっと早くに昔話しをするべきだった
僕の傍でお前がそれを笑ってくれるうちに
昔話はじじいのすることだから
そんなふうに息巻いていた若造の後悔

だから昔話は今のうちにすることだ
喜びを分かち合える友が生きているうちに
冬が来る度に故郷の雪景色と死んだ友を思い出す
友よお前に来なかった五十路がもうすぐ僕にやってくる


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