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2009.08.18 雨の日の午後
雨の日の午後

紫陽花の花も落ちてしまった
雨の日の午後
今にも死にそうな子猫を見ていた

もう彼には何も見えない
目やにだらけで塞がれてしまった瞼
頼りなく震える細い首に
少し大きめに見える頭がゆれている

生命の終り

何処にも親猫の姿は無い
ただ静かに大粒の雨が
風も無い午後の地上に降っている

その体にタオルを掛け
濡れた頭を撫でてやると
彼は震えながら立ち上がろうとした

いま生命が消えるその時に
子猫は己の足で立ち上がるのだ
猫が人の子を超える瞬間を見た

人の子はこの子猫ほどに強くない

人の子の僕には出勤時間が迫っていた
僕は立ち上がり歩き出す
生命の無い世界の果てに

そして思っていた
彼が天国で何処までも続く野原を駆け回る姿を

そして僕は雨の中を
振り向かずに歩いた。





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