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2012.03.04 餌をくれる人
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僕に餌をくれる人は良い人だ
巣の中で口を開けて待っていればいい
そうしていれば僕はいつも満腹でいられる
その人がどんな苦労の果てに餌を見つけたかなんて知らない
その餌にどんな価値があるかなんて知らない
少しばかり僕の体の一部になればそれでいい
やがて糞になってポトリと落ちるだけなんだから

僕に餌をくれる人は良い人だ
でも美味しくない餌を運んできたら食べない
お気に入りの餌をくれるまでそっぽを向く
その人が大切だと思うものが僕の気に入るとは限らない
その餌にどんな意味があるかなんて興味はない
僕を満足させてくれればそれでいい
やっぱり糞になってポトリと落ちるだけなんだから

僕に餌をくれる人は良い人だ
首を横に振れば違う餌を運んできてくれる
食べ散らかしても全然平気だ
その人の汗なんて見えないし涙も僕には見えないから
その餌に込められた想いなんてどうでもいい
楽しければそれでいい
結局は糞になってポトリと落ちるだけなんだから

僕に餌をくれる人は良い人だ
けれど最近は餌を運んできてくれない
姿も見えないし声も聞こえない
その人はいったいどこに行ってしまったのだろう
あれが最後の餌だと知っていれば
僕はお礼を言って感謝も出来たのに
あの餌は糞になってポトリと落ちただけだった

僕に餌をくれる人は良い人だ
でもその人は遠いところへ行ってしまった
だから僕は餌の価値を知らない
その大切な時間を通り過ぎてしまった
汗と涙に報いることも出来ないまま過ごした
その愛情をあれほど食べながらも
全てを糞にしてポトリと落としただけだった

僕に餌をくれる人は良い人だ
もう二度とその人は僕の前に現れない
チャンスは何度もあったのに
それを再び望むことはもう出来ないだろう
与えられる幸せを知らなかった
餌を得ることの困難さを知ったとき
僕はこの翼を育てなかった自分を後悔した



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