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2011.06.14 憧憬
遠いアジアの薄汚れた路上
むせかえるような人の熱気
ゴミ箱のような臭いのする裏通り
煙に燻される魚や鶏肉
黒光りする路上の油
野良犬の寂しい後ろ姿
露天に集う陽気な人たち
暮らしにまみれた猥雑な世界
そこにいれば
僕は何者でもある必要がない
名もなく貧しい人々の中で
名もなく貧しい自分に安堵する
国へ帰って何かの肩書きを背負うよりも
僕はここで永遠に酔っぱらっていたい
シャツについた汚れを気にすることもなく
汗で臭う髪の毛を気にすることもなく
名前もない異国の食い物に満足しながら
貧しさという家族の中で
誰もが兄弟のように見える
僕は煙草を吹かしては安堵し
酒を飲んでは安堵する
貧しい人々の中で
その貧しさに誇りを感じている
自分の中にある生きる力に
僕は確かな手応えを感じる
燃やし尽くすべき生命が形になる
あの路上へ帰りたい
かつては僕の生まれた国の街角にも
そんな息吹が溢れていただろうか

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