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2011.02.13 美しい歌
今日僕は、「朝鮮学校無償化除外反対アンソロジー」という朗読会に参加した。
ここ奈良朝鮮初級学校は3年前から休校中なのだが、このためだけに開放されたのだ。
なぜこの会に参加したかといえば、僕の友人の朴さんという在日コリアンの女性から手紙を頂いたからだ。
彼女は同じ作家仲間で数年前からの付き合いになる。
2年前には、彼女の出版記念パーティに招かれ代表で挨拶もさせていただいた。

高校の授業料無償化というニュースは知っていたが、
朝鮮学校だけがその対象から除外されていたとは手紙を読むまで知らなかった。
知らないのに出かけて行くにもいかず、少し調べてみた。
賛成や反対の意見交換が激しく起きており、そこで初めてこの事態の深刻さを知ったのだった。

僕は難しいことを考えるのをやめて、単に友人が出ている朗読会だからという理由で会場へ向かった。
どちらが正しいかということにはあまり興味はなかったが、
この問題で差別を感じている人が大勢いることだけは確かなのだ。
朗読会に行ってその声に耳を傾けることなら、愚かな詩人でも出来そうだった。

朗読会が始まり、フルートの演奏をバックに数十名の詩人が朗読をされた。
どれも素晴らしい詩だった。
書き手の真剣さととどかない想いが切々と綴られていた。
途中には朝鮮学校の女生徒4名によるコーラスが披露された。
日頃、朝鮮の歌など聞く機会がなかったのでとても新鮮な感覚に包まれた。
彼女達の美しい声と、その歌の素晴らしさに感動した。
しっかりとした黒い瞳で爽やかに歌い上げる彼女たちこそ、
この朝鮮学校無償化除外に、いま心を痛めている当事者なのだ。
美しい歌声を聞きながら、僕は心の中で思っていた。
大人たちが賛成や反対を叫び、どちらが正しいかを争う間にも、
子供達は傷つき心を痛めているのだという現実をしっかりと考えなければならないと。

朗読会に出かけて帰ってきた後も、僕はこの問題の是非を考えたくなかったし、
この軽薄な脳みそでは答えが出せそうにもないように思えた。
ただ、あのひたむきで懸命に歌う彼女たちの顔が瞼の裏に焼き付いて離れない。
そして僕の耳にはあの美しい歌が今でも流れている。

僕の友人の朴さんが書いた詩の題名は「歌、美しい歌」だった。
いつしか、すべての「人」が、美しい歌をうたえる日が来ることを祈る。

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