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2010.05.17 知の座標
知識は何処にでも散乱している
知ろうと思えば何でも知ることが出来る
両手に沢山それを抱えて
人間は知った振りをしながら生きる
決して身にならないものを抱えて
知識という豊穣な虚無に酔いしれる

知識から知恵へ
もっともらしい説教は正当化され
知識の腐り果てた姿が知恵とは知らず
人間は己に酔って生きる
決して身にならない亡骸を抱えて
知恵という曖昧で甘美な酒を酌み交わす

両手に抱えたままでは
知識も知恵も君のものではない
いつかその不確かな自信を
取り立て屋が回収にくるだろう
そして親切な掃除人によって
その誰かの思考の残りカスは焼却される

身になってこその知識は遠く
身になってこその知恵は遙か彼方
使えない割り箸を割るような無駄を繰り返し
持て余した皿の中の豆を恨み
困惑しながらも平静な身振りを装って
人間は憂き身をやつす

頭から入ったものが
血管を通り全身に行き渡る
その血が動き出すとき
それは肉となるだろう
やがて知識も知恵も消え失せて
それは己自身となるだろう

心を無駄に使うな
それはすり減りやがて消え失せる
愛を無駄に使うな
それはすり減りやがてぬるくなる
言葉を無駄に使うな
それもすり減り無意味な発音になる

世の中の真理を知ろうと思えば
両手に抱えた百科辞書を捨てよ
平安の中に生きようと思えば
全身全霊で無いものを知覚せよ
そして何も持たない丸裸で堂々と風の前に立て
何も恐れることはない

全ては君の中にあるのだから
そしてそれしか使えないのだから








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