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2009.10.28 柿の実
柿の実

高い木の枝の先から
ポトリと落ちて
柿の実が土に還ってゆく
土のない大地の
アスファルトという
架空の大地に
橙色の血を滴らせて
転がっている

柿の実は
犬の足元を眺めては
肉体の朽ち果てる時間を過ごす
さっきまで
眺めのいい木の枝の上にいたのに
風も優しかったのに
プツンと切れた絆のように
空は他人行儀になってしまった

柿の実は
猫の足元は見ないだろう
寂しさが増すばかりだから
そしてアスファルトの大地で
ほんの僅かばかりの土の大地を夢見る
しかしその夢は叶わないだろう
やがてカラスがやってきて
その肉体を埋葬するまで

柿の実は思うだろうか
この小径を歩いていたあの少女のことを
自分を見上げたあのつぶらな瞳のことを

橙色の血の色は
柿の実の涙の色だ
叶わぬ想いの
やるせない秋の午後










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