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2011.04.26 苦いラムネ
小学校の制服をきちんと着た
綺麗な目をした少女がひとり
夕方のスーパーマーケットにいた

少女はお菓子を選ぶ
黒くて長い髪が美しく揺れていた
少女はラムネを手に取り歩き出す

辺りを気にしながら
紺色の制服のポケットに
少女はラムネをそっと入れた

僕は少女と目があった
少女はうつむいて足早に歩いた
店の自動ドアが開く瞬間少女は振り返った

僕は少女を見つめていた
少女も僕を見つめていた
やがて水色の自転車で少女は走り去った

何度も僕を振り返りながら
夕焼けの街に消えていった
懇願するような黒い瞳が瞼に焼き付いた

僕は少女に声をかけなかった
僕は少女を捕まえようとしなかった
たとえそれが100%間違っていたとしても

僕は少女の罪を裁けなかった
僕は少女の未来には役に立たなかった
たとえそれが大人として100%失格だったとしても

心の中に苦い想いがこみ上げてきた
綺麗な目をしたあの少女も
きっと今頃は苦いラムネを食べているだろう


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