2017.10.01 奇妙な花たち
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往来の激しい十字路の角に
白い百合の花が一本咲いていた
汚れた空気を吸いながら
健気にそこに咲いていた
少し困った顔をして
自分の生まれた場所に困惑しながら

咲く場所を選べないこの世の花たち
水辺の花は渇いた地の上に
日向の花は日陰に咲いている
そして誰もが自分を失いかけている
咲く場所を間違えたのではない
不似合いな生き方を誰かが決めたのです

水辺の花はどんなに水が恋しかろう
日向の花はどんなにお日様が恋しかろう
種の期待に応える大地は用意されない
花の見たい景色は何処にもない
心病んで居場所を失った花の悲しみ
何処か奇妙な人という花の咲く十字路

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2017.09.01 海の水
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笑顔がいっぱい溶け込んでいる水
それが海だ
だから海の水は太陽を映し出す
いつか若い日々を思い出せるように

涙がいっぱい溶け込んでいる水
それが海だ
だから海の水は月を映し出す
歩んできた一本の道を忘れないように

思い出がいっぱい溶けている水
それが海だ
だから海の水はふるさとを映し出す
異国の地でも寂しい思いをしないように

後悔がいっぱい溶け込んでいる水
それが海だ
だから海の水は嘘つきの僕を映し出す
今日を生きるための誤魔化しを戒めるように

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僕は少し苛立ちながら
君たちが来るのを待っている
不安になればなるほど君たちは来ない
やがて遠くにうずくまる影を見る
だけどまだ君たちは近寄ってこない

僕が近づけば消えそうだから
黙ったまま静かに座っている
無邪気にそばに寄ってくる小鳥のように
気がつけば君たちは踊り始める
だけどまだ手を伸ばして握手はできない

僕の肩を叩く手に気づく
顔を上げると君たちは傍で笑っている
手を取って僕は踊り始める
ほんの束の間の時間を惜しむように
こうして僕はようやく物語を書き始める

2017.07.03 寂しがり屋
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私はここにいるよ
行き過ぎる人の心の中から
そんな声が聞こえてくる
出会えば別れることを知りながら
それでも肩を寄せ合って
喜びと哀しみにかき混ぜられて
一粒の雨だれが共に海で遊ぶ
僕たちはみんな寂しがり屋だから

私に気づいて欲しい
彼方を見つめる人の心から
そんな声が聞こえてくる
生まれれば死ぬことを知りながら
それでも刹那に抱きしめ合って
期待と裏切りに織り交ぜられて
健気な雨だれが共に夏を過ごす
僕たちはみんな寂しがり屋だから

私に触れてください
首までボタンを掛けた人の心から
そんな言葉が聞こえてくる
寄せる波もやがて去ることを知りながら
それでも愛さずにはいられない
今日という日の過去に翻弄されて
小さな雨だれが頬を伝って落ちる
僕たちはみんな寂しがり屋だから

2017.06.13 365日目の波
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365日目の拍手は過ぎ去って
僕はまたゼロに戻ってゆく
少し肌寒い砂浜にひとり立って
誰かがそこにやって来るのを待っている
次の波が無邪気さを洗い流すまで
僕は夢中で物語を書き続ける

365日目の喝采は過ぎ去って
僕はまた振り出しに戻る
透明な過去の重荷を背負ったまま
誰かが肩を叩いてくれる日を待っている
次の波が愛しい日々を洗い流すまで
僕はひたすら物語を書き続ける

365日目の拍手と喝采は過ぎ去って
心の奥にそれは刻まれる
静かにそして潔く別れゆく日々の面影
小さな形見も残さずに足音だけを響かせて
次の波が何もかもを洗い流すまで
僕は黙って君の手を握り続ける