2017.06.13 365日目の波
DSC01664-540x358_convert_20170613095450.jpg

365日目の拍手は過ぎ去って
僕はまたゼロに戻ってゆく
少し肌寒い砂浜にひとり立って
誰かがそこにやって来るのを待っている
次の波が無邪気さを洗い流すまで
僕は夢中で物語を書き続ける

365日目の喝采は過ぎ去って
僕はまた振り出しに戻る
透明な過去の重荷を背負ったまま
誰かが肩を叩いてくれる日を待っている
次の波が愛しい日々を洗い流すまで
僕はひたすら物語を書き続ける

365日目の拍手と喝采は過ぎ去って
心の奥にそれは刻まれる
静かにそして潔く別れゆく日々の面影
小さな形見も残さずに足音だけを響かせて
次の波が何もかもを洗い流すまで
僕は黙って君の手を握り続ける

スポンサーサイト
2017.05.22 蛍と恋
output_comp2-540x360_convert_20170522183020.jpg

蛍を見ると思い出す
ふるさとの小川で捕まえたあの夜のことを
虫籠を抱いて蚊帳の中に潜り込み
いつまでも蛍が光るのを見ていた夜のことを

蛍を見ると思い出す
光を失った蛍たちの無惨な朝の死を
幼心がしでかした惨さと
喜びが虚しさに変わった死のある朝の風景を

蛍を見ると思い出す
ふるさとの小川で語り合ったあの娘の横顔を
恋人という籠に閉じこめたら
消えてしまった僕の恋心と泣いたあの娘の横顔を

蛍を見ると思い出す
無惨に死に絶えた蛍と儚く醒めてしまった恋を
大切なものはそっとしておけ
捕まえなければ蛍は永遠に飛び交い恋は終わらない

2017.05.01 永久の花
a1380_000275_convert_20170501070648.jpg

落ちこぼれて笑われて
正直に生きて馬鹿を見る
そんな自分に出会ったら云ってやれ
迷うことなく美しく生きろと
綺麗に生きて現在に死ぬよりも
ただ美しくあれと
誰も見ないところで花となれ
永久に褪せない花となれ

座る椅子もなく飢えて渇く
取り残されて途方に暮れる
そんな自分に出会ったら云ってやれ
躊躇うことなく美しく生きろと
狡くなって現在に死ぬよりも
ただ美しくあれと
誰も褒めないところで花となれ
永久に誇り高い花となれ

理不尽さの前にしなだれて
競争に負けて心が折れる
そんな自分に出会ったら云ってやれ
誰よりも美しく生きろと
嘘で誤魔化して現在に死ぬよりも
ただ美しくあれと
誰も語らないところで花となれ
永久に散らない花となれ

2017.04.17 幸せの法則
countryside-2175353_960_720_convert_20170417120738.jpg

与えられたものに感謝すること

そしてそれを無条件に愛すること

比較する心に葛藤は生まれる

幸せとは何かになることでもなく

何かを得ることでもない

それは波立つことのない穏やかな心のこと

あなたに足りないものなど何もない

今あるものを本当に愛することが出来れば

2017.04.06 忘れられた蕾
a0960_006402_convert_20170406142509.jpg

ああ 僕のポケットに
まだ蕾は残っているだろうか
寒い冬に耐え抜いた
桜の蕾のような希望に満ちた生命が

切り落とされた首のように
大地に転がってはいないだろうか
降り残した雨雲を仰ぎ見る
悔しい青春の叶わなかった約束が

奔放さが腐らせたあの蕾も
言い訳が萎ませたこの蕾も
痛々しく足元で打ちひしがれた桜色
咲くこともない花の怨みが残る桜色


ああ 僕のポケットに
まだ蕾は残っているだろうか
死と再生を繰り返す
桜の蕾のような永遠に満ちた生命が

水底に沈んだまま忘れ去られた
土にも還れぬ未練な蕾が
深い川の底で嘆いてはいないだろうか
あの日云えなかった詫びの言葉が

軽薄さが傷つけたあの蕾も
傲慢さが鞭打ったこの蕾も
未練がましく指の先に染みついた桜色
まだ咲かぬ蕾を抱えて春に戸惑う桜色