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2019.07.15 君と君たちと
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人と人はいつでも一対一
それが十把一絡げになったとき
傲慢さが生まれ誤解が生じる
僕と君はいつしか
僕と君たちになり
顔のない存在になる
そうならないように
僕は君の顔を見つめる
君の心にかけがえのない生命を見いだす

僕は君の君たちだろうか
それとも君だろうか
その他というシールは貼られていないだろうか
時々不安になる
君が君のままでいられる時間を
僕が僕のままでいられる時間を
昔話すら出来ない友もいる
天国はあまりに近くて遠いから

僕は海で桜貝を拾う君の横顔を忘れない
僕は君の拳が叩いた頬の痛みを忘れない
君はいつまでも君たちではない
十把一絡げではない人と人
真っ直ぐにその顔を見つめて
僕は自分の傲慢さを隠していたい
愛情の足りない僕の為に
この世でたったひとりの君の為に
僕は君の名前を故郷の空に叫ぶ

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誰の人生にもいる
自分の嘘を真実にしてくれた人が
だまされた振りをして
優しく微笑んでくれた人が

誰の人生にもいる
嘘を詫びなければならない人が
大人になる苦さを
黙って教えてくれた人が

誰の人生にもいる
若い頃の自分と似た人が
どんな見え透いた嘘も
そっと赦してあげたい人が

誰の人生にもいる
自分を奮い立たせてくれる人が
嘘を真実にしてくれた
その愛情に応えなければならない人が

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僕は君の過去になろう
君が自由に道を歩けるように
邪魔することなく
忘れ去られよう

僕は君の過去になろう
君の手を冷たく振りほどいて
憎まれながら
忘れ去られるために

僕は君の過去になろう
君の若さに思い出は必要ない
風になろう
君の背中を押す一瞬の風に

僕は君の過去になろう
君のアルバムに少しだけ写ろう
開かれることのない
ページの片隅で君を見守ろう

2019.06.06 白い猫
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僕の隣で釣りを見ている白い猫
前足をそろえて行儀良く座って
手元に引かれてくる疑似餌に首をかしげて
たまに僕の顔を見上げて
そしてまた水面を見つめ直す

頭の上には青空と白い雲が浮かび
風もなく魚も釣れない日
そこにいるのは僕と行儀の良い白い猫
何も語らず時間も流れない
古い友のように永遠の今に遊んでいる

やるべき仕事もなく
あるべき理想の生き方もなく
なすべき義務も消え果てた6月の野池
ここにあるのは僕と行儀の良い白い猫
僕は目をこすり猫は顔を洗いながら

釣りながら魚を追うこともなく
頭の中で俗世を思うこともなく
止まってしまった時の中に溶け込んで
釣りをする僕と行儀の良い白い猫
誰もいない桃源郷の午後
2019.05.07 昭和94年
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時代遅れの男が生きるのは
平成でも令和でもなく昭和94年
だから生きる流儀も常識も価値観も違う
あなたから見れば僕は滑稽な人間に見えるだろう
僕から見ればあなたも滑稽に見えるから
あなたの言葉は僕に通じないだろう
僕の言葉もあなたに通じていないから

時代錯誤の男が生きるのは
平成でもなく令和でもなく昭和94年
だから互いにわかり合える日は来ないだろう
あなたは僕という古い映画を嫌うだろう
僕があなたという新しい映画を嫌うように
それでも互いに何も困らないだろう
遙か昔から人間はそんな風に生きてきたのだから