2017.02.23 罪人の見る夢
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いつか丘の上の処刑場に行く日が来る
愛しい人たちに罵られて
長い坂の石畳の上を裸足で歩きながら
怒りに満ちた君の眼の中に僕は見る
共に過ごした名残惜しい笑顔の痕跡を
二度と通い合わない心を惜しんで
いつか磔にされる日が来る
神ではなくただの詐欺師として
昨日そんな夢を見た

いつか丘の上の処刑場に行く日が来る
愛しい人たちに頬を叩かれて
罵声と石ころを心に投げ込まれながら
冷たくなった君の手に僕は思い出す
共に渡った一本橋の上で繋がれた手の温もりを
二度と繋がれることのない絆の糸を
いつか磔にされる日が来る
神ではなくただの愚か者として
今日そんな夢を見た

いつか丘の上の処刑場に行く日が来る
愛しい人たちに鞭打たれて
時は切り取られ思い出を焼き払われながら
小さくなる君の後ろ姿に僕は知る
共に目指した目的地は幻だったのだと
二度と語り合えない虚しさを抱えて
いつか磔にされる日が来る
神ではなくただの罪人として
明日はそんな夢を見るだろう
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2017.02.09 ひとつ
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互いを理解することは難しくない
だけど納得するのは難しい
それが君と僕の目の前にある河
互いに手を伸ばしても届かない距離
励まし合えても抱き合えない苛立ち
姿は見えても心は見えない間柄
理解しても納得できない心に
どうしたら橋を架けられるだろうか
泳いで近づけば溺れてしまうだろうか
いっそのこと河の中で手を取り合って
遠い海まで流されてしまおうか
もしもひとつになれるなら

互いに同意することは難しくない
だけど同化することは難しい
それが君と僕の目の前にある河
一緒に肩を並べて歩く平行線
笑顔で見上げた色の違う青空
ひとつではない別々の痛みと喜び
同意しても同化できない心に
どうしたら舟を渡せるだろうか
泳いで近づけば流されてしまうだろうか
いっそのこと河の中で抱き合って
遠い海の底で眠ってしまおうか
もしもひとつになれるなら

2017.02.01 名も無き石
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この国が塗り替えた色を返せ
僕たちはダイアモンドではない
無色透明になった心に色を返せ
輝きを失った青春の惨い有様を見たか
同じ色にされる悲しみを

この国が削った凸凹を返せ
僕たちはアスファルトではない
真っ平らになった毎日に凸凹を返せ
大人達の無表情で孤独な朝を見たか
平らにされる憤りを

この国が取り上げた居場所を返せ
僕たちは何にもなりたくない
時間に急かされた人生に静粛を返せ
白い壁に響く渇いた笑い声を聞いたか
あてがわれた仮の住まいを

この国が奪ったありのままを返せ
僕たちは無知なお客ではない
真っ白な絵のない地図を返せ
道標だらけの人生を嘆く声を聞いたか
名も無き石の叫びを

2017.01.19 野良猫
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自由になりたいと思ったことはない
生まれたときから自由だったから
家族という橋は河に崩れ落ち
それぞれが溺れまいと岸にしがみついていた
でも居場所ぐらい自分で見つけられる
野良猫のように雨と風と嵐に耐え抜いて
空は少し雨漏りのする屋根だと思えばいい
世界中が我が家だと思えばいい

誰にも将来を期待されたことはない
寒々しい程に自由だったから
世間は空っぽの玉手箱
学校は同じ型を造る大量生産の工場
でも居場所ぐらい自分で見つけられる
野良猫のように孤独と迷路と偏見に耐え抜いて
大地はベッドのない寝床だと思えばいい
世界中の人を家族にすればいい

月日が経っても残ったものは何もない
自由とは何も持たないことだから
終わらない青春の中で遊び
果てしなく続く自由時間を楽しんだ
だから居場所ぐらい自分で見つけなさい
野良猫のように生と死と迷いを捨て去って
残飯をあさった後は日溜まりで眠ればいい
世界の片隅で今日を生きればいい

2017.01.14 真っ白な朝に
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真っ白に死に絶えてしまったように
世界が凍りついた沈黙の朝
春を知らない者は恐れ
知るものは季節を楽しむだろう
沈黙の下に宿る
生命の息吹を知っているから
眠らせておけばいい
その沈黙の下には春が隠されている

真っ白に死に絶えてしまったように
心が凍りついて傷ついた朝
春を知らない者は嘆き
知るものは季節を待つだろう
閉ざされた窓も
いつか開くことを知っているから
眠らせておけばいい
その傷の下には春が芽を出している

真っ白に死に絶えてしまったように
希望が凍りついた孤独な朝
春を知らない者は後悔し
知るものは旅立ちの準備をする
孤独な心にも
やがて暖かな風が吹くことを知っているから
眠らせておけばいい
その孤独の下には春が迎えに来ている